GRUB2とLinuxをシリアルコンソールで操作する手順を記載します。
デスクトップ環境向けの内容ではなく、組込み機器と仮想マシン運用向けの内容です。
Table of Contents
1 何故シリアルコンソールを使うのか
デスクトップ環境だとメリットはないですが、組込み開発や仮想マシン運用に役立ちます。
- 組込み機器のようなディスプレイを持たないハードウェアにRS232Cケーブルをつなげることでコンソール操作できる(プロダクトになると削られる)
- KVM + libvirt環境において、virt-managerのようなGUIツールを介さずにvirshのCUIツールのみでコンソール操作できる
2 /etc/default/grub
以下の変更を加えます。
- GRUBのターミナルをconsoleとttyS0に変更します。これによりディスプレイとシリアルコンソールへ同一のGRUBが表示されます。
- "no video mode activated"というエラーを回避する為にHIDDENパラメータを削除します。これに伴いGRUBのタイムアウト値を10秒から1秒へ変更します。
- Linuxカーネルのコンソールをtty1とttyS0に変更します。tty1とttyS0の設定はユーザランドに引き継がれ、それぞれに別々のログインプロンプトが表示されます。
$ diff -uprN /etc/default/grub{.org,} --- /etc/default/grub.org 2016-06-07 08:26:05.869583873 +0900 +++ /etc/default/grub 2016-06-07 22:02:51.288594112 +0900 @@ -4,12 +4,10 @@ # info -f grub -n 'Simple configuration' GRUB_DEFAULT=0 -GRUB_HIDDEN_TIMEOUT=0 -GRUB_HIDDEN_TIMEOUT_QUIET=true -GRUB_TIMEOUT=10 +GRUB_TIMEOUT=1 GRUB_DISTRIBUTOR=`lsb_release -i -s 2> /dev/null || echo Debian` -GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet splash" -GRUB_CMDLINE_LINUX="" +GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="" +GRUB_CMDLINE_LINUX="console=tty1 console=ttyS0,115200" # Uncomment to enable BadRAM filtering, modify to suit your needs # This works with Linux (no patch required) and with any kernel that obtains @@ -17,7 +15,8 @@ GRUB_CMDLINE_LINUX="" #GRUB_BADRAM="0x01234567,0xfefefefe,0x89abcdef,0xefefefef" # Uncomment to disable graphical terminal (grub-pc only) -#GRUB_TERMINAL=console +GRUB_TERMINAL="console serial" +GRUB_SERIAL_COMMAND="serial --speed=115200 --unit=0 --word=8 --parity=no --stop=1" # The resolution used on graphical terminal # note that you can use only modes which your graphic card supports via VBE
3 grub-mkconfig
grub-mkconfigを実行し、/boot/grub/grub.cfgを再作成します。
$ sudo grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg Generating grub configuration file ... Found linux image: /boot/vmlinuz-4.4.0-22-generic Found initrd image: /boot/initrd.img-4.4.0-22-generic Found linux image: /boot/vmlinuz-4.4.0-21-generic Found initrd image: /boot/initrd.img-4.4.0-21-generic Found memtest86+ image: /memtest86+.elf Found memtest86+ image: /memtest86+.bin done
Ubuntu 16.04を再起動します。
$ sudo reboot
4 実行結果
GRUBのディスプレイ出力は以下のとおりです。
GRUBのシリアルコンソール出力は以下のとおりです。
本環境ではsudo virsh console <vmname>で接続しました。
ディスプレイにログインプロンプトが表示されます。
tty1はCtrl + Alt + F1で表示されます。
シリアルコンソールにログインプロンプトが表示されます。
4.1 シングルユーザモードとリカバリモード
- シングルユーザモードはtty1とttyS0の両方にrootのプロンプトが表示されます。
- リカバリモードはttyS0のみにリカバリモードのプロンプトが表示されます。tty1にリカバリモードのプロンプトを表示するには、console=ttyS0,115200の値をGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTへ移動してください。リカバリモードのエントリはGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTを使用しません。
- シングルユーザモードとリカバリモードのrootプロンプトはttyの表示がおかしくなるので、/root/.bashrcの末尾に以下を追加してください。
case "$TERM" in linux|vt*) stty sane ;; esac
stty saneを追加して、ttyS0にリカバリモードのプロンプトを表示した様子は以下のとおりです。